青い悪夢①

大丈夫。大丈夫。

忘れてしまってもいいんだよ。

いつか必ず忘れるんだから。

君、生まれる前を覚えてる?

ね、何も覚えてなくても

ちゃんと生きてるだろ?



「セナさん!セナさん!」

「…ん、あれ?忍さん?」

「どうしたんだよ、凄いうなされてたよ!僕心配で…」

忍は泣きそうになりながら、ボロ泣きになってるセナの顔を覗き込んでいる。

「ああ、なんだ、夢かぁ。はぁ」

「怖い夢見たんだね」

セナはうん、と答えて忍に抱きしめてもらった。

「どんな夢を見たの?」

忍はセナを撫でながら聞いた。

「その、忍さん、俺は忍さんを愛してるよ…その、」

セナは話の要点を伝えるのが苦手だ。言いづらいことやうまく言えない時は時間がかかる。

忍はそれを分かってるので、辛抱強く先を待った。

「だから、これは、あんまり言いたくないんだけど、でも、やっぱり言いたいから、その」

「いいよ。言いたいんでしょ。僕は聞くよ」

そういうとセナはバッと顔を上げて忍を真面目な顔して見つめて、ギュッと抱きしめた。

「ユイちゃんの夢。青い髪の悪魔が俺に言うんだ。忘れてもいいって。俺は、忍さんを愛してるけど、ユイちゃんを忘れたくない。忘れたくないんだ…」

セナはまた泣いた。

「セナさん…いいんだよ。忘れなくていいんだよ。セナさんの大切な思い出、ちゃんと持っていていいんだよ。」

忍は愛するセナを体を、セナが安心するまで撫で続けた。

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