セナとユイちゃんは、お互いの家で(と言ってもセナの家が汚すぎるのでほとんどユイちゃんち)
一緒に幸せな時間を過ごした。
ユイちゃんのご飯は美味しいし、一緒に飲むお茶は美味しかった。
だけど何故か日に日にユイちゃんは、元気が無くやつれていくのだった。
ある日、元気がないユイちゃんをセナは街に連れて行った。
「ユイちゃん、たまには外食もいいよね。ハンバーガーだけど!」
「ふふ、そうだね。ありがとセナくん。私のこと元気付けてくれようとしてくれてるんだよね。」
ユイちゃんのやつれてしまった笑顔にセナは胸が痛んだ。
「私ね…お父さんが死んでから、お父さんの借金、返してるの。
自分に返せる額ずつにしてもらって。今のバイトでうまくやってるから、大丈夫なんだけどね。
最初はちょっとびっくりして、落ち込んでたけど。でももう平気だから。心配かけてごめんね」
ユイちゃんは出会ってから初めて打ち明けた。
「そんな…どうにかならないの?俺も一緒に返すよ!!」
「大丈夫だよ。ちゃんとやっていけるから。無理してないよ。
それにセナくんだって学費と生活費稼ぐの大変でしょ。」
ユイちゃんは微笑んでセナの手を取った。
「一緒にいてくれるだけでいいんだよ。こんな話、重かったかな」
「重くないよ!俺、ずっと一緒にいるから。ユイちゃんのこと守るから」
「ありがとうセナくん。」
帰り道、ユイちゃんはセナの腕に腕を絡めて、肩に頭を預けた。
「セナくんの腕、安心する。セナくんに会えてよかった」
セナは愛しさが込み上げて、そっとユイちゃんの頭に頬擦りした。
この先もユイちゃんを支えて守っていきたい。そう強く思ったのだった。
「なるほどね。君の幸せだった記憶、見せてもらったよ。」
アオはゆっくり息を吐いた。
「人間はか弱くて健気だ。短い人生で悲しいこともたくさん訪れる」
アオは立ち上がった。
「…またあの子に怒られちゃうからな。この先を見るのは少し気が重いけど、もう少し君の記憶見せてもらうよ。」
空想都市一番街
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