Heart of GOLD 19

「なぜ叔父が怪我を?まさか、父が…?」

「ああ。喧嘩がエスカレートした、と武内さんは話したそうだ。その辺の詳しい事情は武内さんがあまり話さなかったから、分からないらしいがな。
それ以来、武内さんは姿をあまり見せなくなり、音楽も作る側に変わっていった。
怪我のせいで、プレイヤーとしてやっていくのは難しかったんだろう。」

響は頭の中で今聞いたことを一つづつ確かめていったけれど、なかなか全てを飲み込めなかった。

「大丈夫か?」

拓也が静かに言った。
響はなんとか頭の中を整理して、うなづいた。

「警察の見解では、お前の親父が武内さんへの怨恨で傷害事件を起こし、心身の喪失で自殺した、ってなってる。
お前のオヤジ、命日は8月20日だよな?」

「ハイ、そうです」

「その日、あの人はどうすると思う?
悠斗があの人を見たのもちょうど一年くらい前だ。特別な日に、何かがあったあの場所に、武内さんが来るとは思わないか?」

響は混乱しながらも、うなづいた。その日、叔父はきっと来るだろう。

「拓也さん、それは確かな情報なの?」

レナは冷静に問う。

「間違いないよ。警察の筋の情報なんだ。
かなり前だけど、あの辺で事故あったって話を、トンネル通ってる時に思い出してな。
なんか関係あるんじゃないかって思って探ってみたんだ。」

拓也のつながりは広いらしい。
警察にまで繋がっていたのかと響は驚いた。

0コメント

  • 1000 / 1000

空想都市一番街

このサイトは管理人「すばる」の空想の世界です。 一次創作のBL、男女のお話、イラスト、漫画などを投稿しています。 どうぞゆっくりしていってくださいな。