それから、アルバム作りが始まった。
廣治は曲を作りデモ音源をアオハルに送り、数日後にレコーディングという流れで数回スタジオ入りした。
廣治が思った通り、曲はアオハルの世界にピッタリと合っていた。
レコーディングは順調に進んでいた。
メンバーとも徐々に打ち解けていった。
何度か飲みに出かけたりもした。
「ヒロさん酒強いですね。どんなに飲んでも顔色ひとつ変わらないし。」
酒に弱い誠司は、廣治の強さに驚いていた。
「うん、まあ、昔から強い方だったよ。たくさん飲んでもあんまり酔えないから、損な方かもね」
廣治は笑って答えた。
「僕もヒロさんの飲んでるウイスキー飲みたい」
忍は、すいませーんと店員を呼ぶ。
「おいやめとけよ、お前いつも潰れるだろ」
仁が3杯目の生ビールを飲みながら赤い顔で静止する。それでも忍はウイスキーを注文した。
「ジャックダニエルをダブルで」
「バーカ、しらねぇからな。」
という仁も結局いつも潰れるのであった。
「アオハルはみんな仲がいいね。どういうつながりだったの?」
誠司が言った通り顔色ひとつ変えない廣治が微笑みながら3人に尋ねた。
「俺と忍が高校の同級生で、2人でギターとベース始めて。そんで、ドラムを入れてスリーピースやろうってなって。知り合いのライブハウスのマスターに仁を紹介してもらったんです。」
比較的酔ってない誠司が説明した。
「仁はレコードスタジオとも繋がりがあって、おかげで俺らCD作れたんですよ」
「仁、無愛想だけど意見言ってくれるから、ぼくたちは信頼してんだよ」
仁は酒のせいなのか、赤い顔をして照れ臭そうにしている。
そんなやりとりを、廣治は昔の仲間たちと過ごした時を思い出しながら聞いていた。
こういうの、懐かしいな、と。
「ヒロさん、どう思う?レディオヘッドのクリープは女が歌う歌じゃないって仁に言われてさ、僕そういうの許せなくてこいつのことぶん殴ろうとしたら誠司に止められたんだけど」
忍がだいぶ出来上がった感じでまくしたてている。
「ふぅん、、別に僕はそうは思わないよ。歌いたい歌に男も女も関係ないだろう。忍さんは性別で分けられるのが嫌なんだね」
そう言われて忍はものすごく嬉しそうな顔をした。
「そうなの!!うわーヒロさん、分かってるんだ、スッゲー嬉しい」
「あん時止めるの大変だったよ、、こいつどっからそんな力出てくるのか知らねーけど馬鹿力でさ。俺までぶん殴られそうになったよ」
誠司が言うと、仁はため息を吐いた。
「ま、結局、こいつのクリープすごい良かったから悪かったって謝ったよ。こいつ、好きならなんでもやるって言って、カバーも色々やったな」
仁はビールを飲み干した。
「いいね。それはすごくいいことだ。やりたいことを、自由にやること。それは音楽やる上で、本当に大切なことだから。」
忍は嬉しそうにうなづきながら、ウイスキーのダブルをもう半分も飲んでしまった。
「そうですよね!僕の信条なんだ。自分の声で、好きなこと思い切りやるって。尊敬する人に教えてもらったんです」
「彼氏だろ」
誠司がニヤニヤと突っ込んだ。
「うっさいな、からかうなよっ」
忍は照れを隠すようにふくれっ面になった。
「サースティーズの片岡瀬名、ヒロさん知ってます?」
「ああ、知ってるよ。忍さんは彼と?最近活躍してるよね。ソロもすごくいいし。彼はこれからもっと大きくなるだろうね」
「こいつメロメロなんすよ」
誠司が茶化すと忍はうるせぇな、と顔を赤らめた。
やがて4人は店を出た。
ベロベロな仁と忍を誠司が1人で抱え、廣治がタクシーに手を挙げる。
やってきたタクシーに3人を押し込むと、廣治はタクシー代を渡した。
「今日も楽しかったよ。ありがとう」
「とんでもないっす、こんなにもらえないっすよヒロさん」
「いいんだよ。僕はすごく楽しったから 、そのお礼。これから何回かレコーディングあるから、またよろしく」
そしてタクシーは新宿からの道を帰っていった。
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