朝5時半。
隣で眠るすばるを起こさないように小さめなボリュームでセットした目覚ましが鳴る。
ううん、と寝返りを打ってタクヤはアラームを止めると、そっと体を起こした。
すばるが寝息を立てているのを見届けると、タクヤはテーブルの上のメガネを取ってかけ、キッチンへと向かう。
タクヤの朝は早い。
朝食作りとお弁当作りと、朝のうちに洗濯も終えておきたい。
そんな家事があるせいもあるけど、もう一つ、早起きをしたい理由がある。
それは、カフェラテを一杯、ゆっくりと淹れて飲むこと。
毎朝タクヤは家事を始める前に、ゆっくりと豆を引いて、スチームでミルクを温めてカフェラテを作る。
それをゆっくり飲むと、体が目覚めて、1日の活力が湧いてくるのであった。
今日もいつものように豆を引く。
ホーローのコーヒーケトルでお湯を沸かす。
フィルターをセットして、引いた豆を入れる。
その上から少しずつ時間をかけて、お湯を落として蒸らしていく。
焦らず、ゆっくり。この時間が大事なのだ。
そうして抽出されたコーヒーに、スチームミルクを注いでいく。
カップはその日の気分で決める。
今日はすばるが買ってきたかわいいホット用の紙カップにした。
たまにはこんなカップもいい。ちょっとカフェでテイクアウトしたみたいな感覚になる。
一口飲む。
「…ふう。」
じんわり体が目覚めていく。
さて、愛する恋人と自分のお弁当を作ろうか。
タクヤはささやかな幸福感に包まれながら、料理の準備を始めた。
今日も力まず自然体で、楽しく生きられますように。
空想都市一番街
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