ちゃんとしてなくても

僕は誰かといる時、その人に遅れないように歩く。

その人との話を違和感なく続けられるようにとても気をつけて話をする。

間違えないように気をつけているし、変なことしないように、変な人に見えないように、すごく気をつけているんだ。

そういうと、アオは焚き火の向こうから不思議そうな顔をして僕を見た。

「君、何でそんなにちゃんとしようとするの?」

「何でって、そうじゃなきゃ笑われちゃうし、嫌われちゃうだろ。」

アオはますます首を傾げる。

「ちゃんとしてない人は笑われるの?好きになってもらえないの?」

そりゃそうだ。僕にとってそんなことは疑いようもなく当たり前のことだ。

「私はちゃんとしてない今の君が好きだけどな。だって無理してる時は何か必死でしんどそうだもの。何か欠けてても、今の君の方がずっと素敵」

アオは恥ずかしげもなくそんなことを言う。
僕はそんなこと言われると思わなくて、ポカンとしてしまった。

「抜けてて出来ない君でも愛してくれる人はいるよ。嫌いっていう人もいるかもしれないけど、それでも好きになってくれる人はいるよ。ちゃんとしてなくてもいいんだよ。私は君が好きだからね」

「え、あ…あ、ありがとう」

僕は言葉を出すので精一杯だった。

「じゃあ、リュックのチャック全開のまま歩いちゃうのとか、物をすぐ落として失くすとか、そんな僕でも?」

「当たり前じゃん!うははは!君って本当に変なやつ」

アオはおもしろそうに笑った。

そんなこと言われたことなかったから、何だかとても嬉しかった。肩の力が抜けたような気がした。


ちゃんとしてなくても大丈夫。あなたらしく生きよう。

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