出会った日のこと

音楽ユニットAZEMICHIをルイと始めたのはタクヤが22歳の頃。
まだアートスクールで歌を学んでいる学生の時だった。

駅前でキーボード弾き語りをしているルイに偶然出会った時、タクヤはこの人だ!と思ったのだ。

それから最後の演奏まで聞いた後、他のお客さんをかき分けてタクヤは、メモ用紙をルイに渡した。

名刺なんて持ってないから、タクヤはそこに自分の名前と連絡先を書いた。

「俺ボーカルなんです。俺と音楽やりませんか?ぜひ!あなたのピアノ素晴らしかった!」

興奮してうまく言えなかったけどタクヤは精一杯感動を伝えた。

ぽかんとメモを手にしてタクヤを見ていたルイは、ふふ、と微笑んだ。

「うん、分かったよ。じゃあ今何か一緒にやろう。君の歌を聞かせて」

今!

予想以上の答えが返ってきてタクヤはびっくりしたけど、気を取り直した。

「じゃあ、デスペラード出来ますか。俺の好きな歌なんです」

ルイはニコッと笑ってうなづいた。

「イーグルスの名曲だね。じゃあ、始めよう」

ルイの静かな前奏、そして
タクヤの歌。

ルイを目当てで来ていたお客さんも全員足を止めて聴いていた。
ルイの優しいピアノに、タクヤのソウルやR&Bがルーツにある、心に訴えかけるような歌はとても合っていた。

ルイのコーラスもとても合っていた。

始めて合わせたなんて思えなかった。
静かに歌い終えたとき、自然とお客さんから拍手が起こった。

それもたくさん。

タクヤとルイは顔を合わせて笑った。
この日から、二人は意気投合。

AZEMICHIと名前をつけ、活動していくことになったのでした。

0コメント

  • 1000 / 1000

空想都市一番街

このサイトは管理人「すばる」の空想の世界です。 一次創作のBL、男女のお話、イラスト、漫画などを投稿しています。 どうぞゆっくりしていってくださいな。