僕は自分の寝台に戻って、去りゆく景色を見ていた。
全部覚えておきたい。けれどそうするには、僕の脳みそは容量が足りなさすぎる。
忘れてしまってもいいのだ。きっと、大切なことなら、記憶の片隅で生き続ける。
他の寝台からひそひそと話し声が聞こえてくる。それは楽しそうだったり、悲しそうだったり、色々だ。そう、僕がこうしている間にもどこかの知らない誰かは、楽しんだり悲しんだり怯えたりしている。
僕は目を閉じた。
みんなそれぞれ自分のことが1番大切で、精一杯だ。
みんなの夢が叶いますように。みんながそれぞれ幸せになりますように。
ずいぶん時間が経ったようで、もうすぐ日が昇る。ひとまず僕は一つの夜を越えた。
明日も明後日も夜は来る。
僕の大切な仲間達がいるあの美しい街に着くまで、まだ時間がかかりそうだ。
焦ってもしょうがない。
僕はそのまま少し眠った。
夢にはソラとコウタが出てきた。なぜか2人は僕を応援してくれていた。
オカベさんも出てきた。
「すばるちゃん、大丈夫よ。あなたは大丈夫。」
オカベさんの言葉が心に染み渡ってくる。
僕は大丈夫なのだ。
旅は続いていく。
空想都市一番街
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