すばるのきょうだいたち③

「あの子たちはね、私がもっと小さい時、ママが山の中に住んでた恋人と結婚して生まれたの。

あのパパは体が大きくて力持ちで、山の土地をたくさん持ってた。

ママはお金持ちじゃないと嫌だから、田舎だけど条件は揃ってたの。」

すばるはぽつりぽつりと話し始めた。

「私はパパが怖かった。
体が大きいのもあったけど、あのパパは子供が好きじゃないみたいだった。優しくないし、私と話ししてくれたこともあんまりない。
ママといられればいいみたいだった。私はよく家にお留守番して、ママたちだけでお出かけしてたよ」

「え?すばる1人置いて?」

「うん。でもお手伝いさんがいたから1人ではなかったよ。
あんまり遊び相手にはなってくれなかったけど。
そのうちママは妊娠して双子を産んだの。

それがスイくんとネムちゃん。

初めて弟と妹が出来てすごく嬉しかった。

大きくなったら遊ぼうねっていつも話しかけてた。

でもね、お別れはやってきた。ママが、パパの家を出ていくって言いだしたの。

パパは納得いかなくて何度も引き留めてたけど、結局ママは私だけ連れて出てきてしまった。

それから、スイくんもネムちゃんもどうなったかわからない。

あのパパが、自分の子を大事に育ててくれてたらいいなと思ってる。

…それが私の下の双子の兄妹の話。」

タクヤはうなづきながらじっとすばるの話を聞いていた。

「辛い思いをしたね。やっと出来た兄弟たちと離れ離れになってしまったのか」

「うん、いつかまた会えたらいいな。ルーちゃんもみんなで会えたらなぁって今は思ってる。」

タクヤはそう言ったすばるの頭をぽんぽんと撫でた。

「そんな日がきますように。俺も協力するからな。」

「うん、パパありがとう」

ちょっとだけ大人びた笑顔をタクヤにみせた。


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