「あの子たちはね、私がもっと小さい時、ママが山の中に住んでた恋人と結婚して生まれたの。
あのパパは体が大きくて力持ちで、山の土地をたくさん持ってた。
ママはお金持ちじゃないと嫌だから、田舎だけど条件は揃ってたの。」
すばるはぽつりぽつりと話し始めた。
「私はパパが怖かった。
体が大きいのもあったけど、あのパパは子供が好きじゃないみたいだった。優しくないし、私と話ししてくれたこともあんまりない。
ママといられればいいみたいだった。私はよく家にお留守番して、ママたちだけでお出かけしてたよ」
「え?すばる1人置いて?」
「うん。でもお手伝いさんがいたから1人ではなかったよ。
あんまり遊び相手にはなってくれなかったけど。
そのうちママは妊娠して双子を産んだの。
それがスイくんとネムちゃん。
初めて弟と妹が出来てすごく嬉しかった。
大きくなったら遊ぼうねっていつも話しかけてた。
でもね、お別れはやってきた。ママが、パパの家を出ていくって言いだしたの。
パパは納得いかなくて何度も引き留めてたけど、結局ママは私だけ連れて出てきてしまった。
それから、スイくんもネムちゃんもどうなったかわからない。
あのパパが、自分の子を大事に育ててくれてたらいいなと思ってる。
…それが私の下の双子の兄妹の話。」
タクヤはうなづきながらじっとすばるの話を聞いていた。
「辛い思いをしたね。やっと出来た兄弟たちと離れ離れになってしまったのか」
「うん、いつかまた会えたらいいな。ルーちゃんもみんなで会えたらなぁって今は思ってる。」
タクヤはそう言ったすばるの頭をぽんぽんと撫でた。
「そんな日がきますように。俺も協力するからな。」
「うん、パパありがとう」
ちょっとだけ大人びた笑顔をタクヤにみせた。
空想都市一番街
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