1人も好きだけど

シュリはシャイで1人が好きな子だ。そして素敵な表現力を持っている。

歌ったら誰もが引き込まれてしまう。

すばるはそんなシュリを素敵だと思うし、シュリみたいになれたらなと思う。

そう言うとシュリはいつもふふっと笑って「俺はすばるになりたいよ」と言うのだった。

あんまり笑わないシュリの笑う顔を見るとすばるは嬉しくなる。

「なんで?私はシュリみたく歌上手くないし、ピアノも上手くないよ」

そう言うとシュリは不思議そうな顔をしてすばるを見た。

「お前、何言ってんの?お前のピアノも歌もかっこいいよ。

それに、お前は俺に話しかけてくれたし、ゴニョゴニョ」

「え?なに?」

聞き取れなくて聞き返すと、シュリは顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

「ごめん、言いたくなかったら言わなくていいから。」

すばるが困って言うと、

「…お前が話しかけてくれたから、一緒に音楽できるようになったんだよ。今までずっと1人だったから。」

「あ、そうかぁ…」

シュリは友達がいなかった。ずっと1人で音楽してきたのだ。

「1人も好きだけど、お前と2人で音楽するの楽しい。だからありがとな。

人に、優しくできるのは、すばるの素敵なとこだと思うよ」

通常の3倍くらい喋ってシュリは疲れたように寝転んだ。

すばるなんだか、シュリのことが愛おしかった。恋とか恋愛とかじゃなくて、

パパに抱く気持ちみたい。

寝転んでるシュリの頭をすばるはナデナデと優しく撫でた。

シュリは少しびっくりしてちょっとだけ頬を赤らめ「なんだよ」って笑って、気持ちよさそうに目を閉じた。

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