大丈夫。大丈夫。
忘れてしまってもいいんだよ。
いつか必ず忘れるんだから。
君、生まれる前を覚えてる?
ね、何も覚えてなくても
ちゃんと生きてるだろ?
「セナさん!セナさん!」
「…ん、あれ?忍さん?」
「どうしたんだよ、凄いうなされてたよ!僕心配で…」
忍は泣きそうになりながら、ボロ泣きになってるセナの顔を覗き込んでいる。
「ああ、なんだ、夢かぁ。はぁ」
「怖い夢見たんだね」
セナはうん、と答えて忍に抱きしめてもらった。
「どんな夢を見たの?」
忍はセナを撫でながら聞いた。
「その、忍さん、俺は忍さんを愛してるよ…その、」
セナは話の要点を伝えるのが苦手だ。言いづらいことやうまく言えない時は時間がかかる。
忍はそれを分かってるので、辛抱強く先を待った。
「だから、これは、あんまり言いたくないんだけど、でも、やっぱり言いたいから、その」
「いいよ。言いたいんでしょ。僕は聞くよ」
そういうとセナはバッと顔を上げて忍を真面目な顔して見つめて、ギュッと抱きしめた。
「ユイちゃんの夢。青い髪の悪魔が俺に言うんだ。忘れてもいいって。俺は、忍さんを愛してるけど、ユイちゃんを忘れたくない。忘れたくないんだ…」
セナはまた泣いた。
「セナさん…いいんだよ。忘れなくていいんだよ。セナさんの大切な思い出、ちゃんと持っていていいんだよ。」
忍は愛するセナを体を、セナが安心するまで撫で続けた。
空想都市一番街
このサイトは管理人「すばる」の空想の世界です。 一次創作のBL、男女のお話、イラスト、漫画などを投稿しています。 どうぞゆっくりしていってくださいな。
0コメント