すばるが年越しに酔って実家で寝落ちてしまったので、1月1日はタクヤと二人で過ごすことになった。
年明けたら、シュリとシェアハウスに帰るつもりだったのに。
パパ、とすばるは呼ぶけれど、心は父親ではないタクヤを求めていた。
そんなこと、自分でもとっくに気づいてるし、タクヤだって分かっている。
だから、邪魔に思われたくなくて、距離を置いてたんだけどな。
1日はお昼過ぎまで家で過ごして、午後はショッピングに出掛けて福袋を買った。
夕方になったらお店の中のカフェでご飯食べて、帰ろうとした時。
「パパ!私、お願いがあるの。一回パパと一緒にハードロックコスして写真撮りたい!」
すばるは前日酔っ払ってタクヤと虎コスしたので、その勢いで試しに言ってみた。
「ハードロックコス??」
「うん。パンクスみたいな格好して写真撮るの。衣装はお店にあるから、今から行きたいな。ダメ?」
タクヤはうーんと頭をかいた。
「ダメじゃないけどさ、俺とコスしてすばる楽しい?友達なら楽しいだろうけど、俺おじさんだよ?」
「も〜!なに言ってんの!!全然楽しい!!パパだから一緒に撮りたいんだよ!じゃあ決まりね!」
と、半分強引に決めてしまった。
お店に着くとすばるはタクヤの衣装と自分の衣装を決め、いざ撮影。
初めは離れていた二人だったけど、カメラにうまく入らないので、どんどん近寄った。
最後には二人はぴったりくっついて、タクヤはすばるがバランスを崩さないように肩を抱いてくれた。
そしてできた写真にすばるは大喜び。
「パパありがとう〜!!すっごく嬉しい!今日は本当にありがとう」
「すばるの嬉しそうな顔見れてよかったよ。それに、案外俺も楽しかったしな。さあ、帰ろうか」
そうしてタクヤはすばるをシェアハウスに送り届けた。
「パパ、またね。風邪ひかないで、あったかくしてね」
「うん。また帰っておいで。豆まきにでも」
豆まき、と言ったのがなんだかおかしくてすばるは笑った。
「あっははは!じゃあ一緒に豆まきしようね。じゃあね」
半分ウケ狙いのタクヤも笑っていた。
二人はいつも通り握手をして、別れた。
今日の写真を、すばるは大事に机に飾った。
誘ってみてよかった。
あの時肩を抱いてくれた大きな手。
ライダースジャケットもすごく似合っててカッコよかった。
すばるはしばらく写真を眺めてから眠りについた。
今年も、いい年になりますように。
空想都市一番街
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