1番になりたい

すばるはシュリの家に遊びに来ている。

すばるはパパ(タクヤ)について考えていた。

パパの歌も声も大好きだし、
パパはいつも優しいし、

本当は誰よりもパパの仲良しになりたいんだ。

でもパパの親友はルイさん。

私はパパの子どもだから、1番の友達にはなれない。

きっと私が1番パパのこと分かるのに。

どうして親子は親友にはなれないんだろう。

「当たり前だろ。親は親なんだから。俺たちのこと、育てなきゃいけないんだから。友達じゃダメなんだよ」

すばるが愚痴っていたら、シュリはそう言った。でも、と続ける。

「その気持ち分かるけどな」

それっきり黙ってピアノを弾いていた。
シュリも父親のルイことが大好きなのだ。

「桜の花も 色を変え 僕らはひとつになり 芽を出した、、」

すばるはcannaの「カンナの花」を口ずさんだ。
シュリは黙って伴奏を弾いて、ハモってくれた。

「パパとなれなくても、シュリとはなれるよね。親友」

歌い終わってすばるが言った。

シュリは何か言おうとしてうまく言えないみたいで、
顔を赤くして黙っていたけど、絞り出すように

「うん」

と言った。

「本当?」

「本当。嬉しくて、うまく、返事出来なかった。」

シュリはものすごくシャイなのだ。
恥ずかしそうにすばるを見て、微笑んだ。

すばるも嬉しくて笑った。

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