すばるのママ、レイナはタクヤと別れた後も相変わらず何人かの恋人を作って暮らしていた。
その1人が会社社長の神宮寺さん。
アクセサリーを贈られたり、美味しいご飯をご馳走になったり。レイナの1番の恋人だった。
体の相性がいい人とか、感性が合う人とか、趣味が合う人とか、恋人たちは他にもいたけど、
レイナは特に神宮寺さんとの関係を優先していた。
お金持ちであることがレイナにとって1番だったのだ。
そんなある日、レイナの妊娠が発覚する。
多分、神宮寺さんの子だけど、正直いって分からない。
まあいいか!とだいぶぶっ飛んだ脳みそをしてるレイナは子供を産むことにした。
昔付き合ってたお金持ちの恋人に買ってもらった家で、友達を呼んでパーティーしたりして妊娠を祝ってもらった。
もちろん神宮寺さんもレイナが沢山の恋人がいることを分かってるので、
自分の子ではないかもしれないことは分かってる。
それを知った上で、神宮寺さんはレイナの出産のサポートをすることにした。
レイナは女として最高だったからだ。
まず著名な芸術家であり、美人だからどこへでも連れて歩けたし、気立てもいいし料理も上手いし、セックスも最高。
家庭を築きたいとは思わない。
でも程よい距離感の相手は欲しい。
神宮寺さんにとってレイナはうってつけの存在だった。
そんなわけで十月十日(とつきとおか)。レイナは女の子を出産した。
知らせはすばるとタクヤにも届いた。
「パパ、赤ちゃんに会いに行ってもいい?」
すばるは遠慮がちにタクヤに聞く。
「もちろん。ママの家まで送って行くよ。」
タクヤは快諾してくれたけど、すばるは気になっていた。
「…パパはまだ、ママのこと好きなの?」
「ん?…うーん、どうかな。俺が好きでいるには、ママはあんまりにも想像を超えて、自由な芸術家だったな。今はただの1人のファンだよ」
タクヤはそう言って笑った。
「そっか。私が会いに行くの、嫌じゃない?」
「うん、全然嫌じゃないよ。すばるはママと親子だし、生まれた子供はすばるの妹なんだから。会いに行くのは当たり前なんだよ」
パパにそう言われてすばるは少しほっとした。
ママの家に送ってもらってインターホン押すと、ママが赤ちゃんを抱いて出てきた。
「すばる〜!来てくれたのね!嬉しい!入って入って」
家の奥に入ってソファに座ると、ママはお茶を入れてくれた。
「ほら、この子があなたの妹よ。ルーちゃんて呼んでね」
「ルーちゃん、、かわいい!小さくて、まだ目も開かないんだね。
スイくんとネムちゃんの生まれた時みたい。」
すばるには、ルーちゃん以外にも兄妹がいた。
タクヤとママが結婚する前に、ママは他の人と結婚して産んでいたのだ。
双子の兄妹。
だからすばるには3人のきょうだいたちがいることになる。
「そうだね。あの子達、どうしてるかしらね?前のパパに引き取られて、山の方で暮らしてるはずだけど。
あ、そうだもう少ししたら神宮寺さんが来るの。すばるも会う?お金持ちでいい人よ」
「え、、」
すばるは返答に困った。
「神宮寺さんがサポートしてくれるし、すばるもママと暮らしたくなったらタクヤの家を出てここへ来ていいのよ。
タクヤだって若いんだから、他にお付き合いもしたいだろうし…あ、ごめんなさい、こんな言い方酷かったわよね、ごめんねすばる」
すばるはボロボロと涙をこぼしていた。
タクヤにとって自分は邪魔なのだろうか?
大好きなのに、一緒にいない方がいいのだろうか。
レイナの言葉がグサグサと刺さった。
「私パパといない方がいいの?邪魔なの?」
「ごめんね、そういう訳じゃないのよ…」
そんな話をしているとインターホンが鳴った。
「はあい。あら?珍しいわね。噂をすれば」
来たのはタクヤだった。
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